塩分制限と浮腫

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浮腫(むくみ)が気になるなら、食事にも気を付ける必要があります。心不全や腎不全などに代表される全身性浮腫を伴う疾患では、当たり前のように栄養指導が行われ、食習慣の見直しの必要性が問われます。食生活の見直しといっても、重篤な疾患にでもかからない限り、なかなか簡単ではありません。食生活全てを見直すのではなく、まずは、あなたにもできそうなことから始めることが大切です。そこで減塩です。


1日の減塩目標は6g未満と言われています。しっかり守っていただきたいのですが、5gは小さじ1杯程度と極めて少量です。味付けが物足りなくなってしまい、長続きは難しいようにも思えます。そこで、食事を工夫することを提案したと思います。
リンパマッサージ資格を指導する際も、役に立ちそうな食事指導を簡単に説明します。

 

 

 

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1.塩分過多と生活習慣病

 

まず、塩分過多に陥るとどんな生活習慣病につながるのでしょうか…。代表的な生活習慣病と言えば高血圧です。
塩分は体内のNa:ナトリウムのことで、血管内に吸収される塩分が増えると、血管内の塩分濃度を中和するために過剰な水分が必要になります。体内の水分量は、組織と血管内に分けられますが、組織から血管内への水分の移動が起こり血管内がの血液量が増えます。さらにNaは血管を収縮させる働きがあるため、結果として高血圧に陥ります。

多少の高血圧では初期症状に乏しいため気付きにくいですが、高血圧は動脈硬化との関連が強く、動脈硬化から脳梗塞や心筋梗塞、腎臓疾患などの非常に重篤な疾患へ発展します。

 

 

 

 

 

2.塩分過多とむくみ

 

塩分過多は、生活習慣病にまで至らなくとも、浮腫(むくみ)を生じてしまいます。浮腫については、別のページでも解説していますので参照ください。
通常の浮腫は、心臓からもっとも距離の離れた足先から生じますが、塩分過多ではまぶた周辺にむくんでくるといった特徴があります。ダイエットとしても注目されている減塩ですが、実際、多少のダイエット効果はありと思われます。そして、減塩が持続できればリバウンドも少ないとも考えられます。

日本人の食文化は、醤油や味噌などに代表されるように、塩分とのつながりが深いです。塩分の成分であるNa:ナトリウムには、上述したような水分との密接な関係性がありますので、自分では感じていないだけで、体内に過剰な水分量が貯留した状態に陥っている可能性があります。むくんでいるのであれば全く違うとは言い切れません。
 

 

 

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3.簡単に出来る減塩のコツ

 

3-1.食べ方…ちょっとした工夫で減塩

 

3-1-1.日本人の朝食の代表例である味噌汁… 

 

日本人の朝食に不可欠とも言える味噌汁…非常に塩分が多く含まれています。味噌汁1杯には塩分が何と1.5g含まれています。これだけで1日の塩分量のおよそ1/3を摂取したことになります。味噌汁の具や味噌汁がインスタントかどうか、朝食のおかずの内容などにもよりますが、下手をすれば朝食だけで塩分を5g摂取という事態にもなりかねません。味噌汁は、まずそうにかしたい食事の代表例とも言えます。そこで、味噌汁の具材です。野菜やキノコ類、豆腐など具だくさんの味噌汁がお勧めです。味噌汁の水かさが増し必要な塩分量が抑えられるほか、味の感覚が具材の旨みに向けられと塩分の必要量がより減少するため、具材に旬の素材を入れることもお勧めです。

 

 

 

 

 

3-1-2.野菜や果物、海藻類をたくさん摂取しよう!

 

野菜や果物、海藻類にはたくさんのK:カリウムが含まれています。たくさん摂取することをお勧めします。カリウムはナトリウムとの関係性が強く、カリウムには、塩分の成分である体内のナトリウムを体外に排出される働きが期待できうえ、カリウムには腸管からのナトリウムの吸収を抑制する働きがあるからです。しかしながら、たくさん摂取すると言っても食べる量にも限界がありますし、その他の栄養の摂取も体内にとっては不可欠ですので、効率よく摂取することが大切です。そこで、具だくさんスープにして熱を加えることです!非常に効率よく摂取することが可能です。また、ちょっとしたおやつ感覚で摂取できるミニトマトなどもお勧めです。
しかしながら、カリウム自体の過剰摂取も問題です。そして、カリウムは腎臓から排出されるため、腎臓病を有している方はカリウム摂取を控える必要がありますので注意が必要です。

 

 

 

3-1-3.ドレッシングはかけずにつける

 

食事を簡単にお手軽においしくできるドレッシングですが、塩分が多く含まれています。ついついドレッシングをたくさんかけてしまいがちですが、別の小皿にドレッシングを入れることをお勧めします。ちょっとだけつけて食べるように心が掛けましょう!十分おいしく摂取することが可能です。これだけでも簡単に塩分量が抑えられます。

 

 

 

 

 

3-1-4.加工食品ではなく旬の新鮮食材を選ぼう

 

濃厚・特濃・リッチ…など、加工食費の売れ行きのためか、濃い味付けの加工食品が多いように感じます。当然、塩分も多いと解釈できます。ですので、加工食品に慣れてしまうと、味覚も濃くなり料理の味付けも濃くなりがちです。出来れば避けたい食品ではあります。可能ならば、旬の旨みの詰まった新鮮食材がお勧めです!旬の新鮮食材ならば、旬の味だけで味が楽しめますので減塩効果が大きく期待できます。

 

 

 

 

 

3-2.自宅の料理…ちょっとした工夫で減塩

 

出し汁を効かせて料理することがお勧めです! 昆布やしいたけやカツオなどで出し汁をしっかりとって料理すると、必要な味付けが少なくなりますので、結果的に塩分量が少なくて済みます。ただし、市販の出し汁は塩分が含まれていますので注意が必要です。また、酸味を活かすこともお勧めです!焼き魚にレモンの組み合わせはご存知だと思います。酸味は塩味との相性が良く塩味を和らげる効果があるからです。つまり、塩味よりも酸味が際立つ結果となります。ですので、塩分量を抑えることができ、物足りなさが解消できます。

 

 

 

 

 

3-3.外食…ちょっとした工夫で減塩

 

外食で気を付けておきたいことは、上述したことのほか、漬物や佃煮などの塩分をきかせた長期保存できる食品を避けること、唐揚げなどの脂っこい食品は極力選択せずドレッシングやソース類は少量にすることです。汁もので言えば、味噌汁だけではなくラーメンなどもスープは全部は飲まないことです。塩分カットと表示されているからと言って安心せず、可能な限り摂取を控えましょう。

 

 

 

 

 

リンパマッサージ資格に必要とまでは言いませんが、多少の知識として身につけておくことに意味はあるかと思われます。栄養療法士ではございませんので、的確なアドバイスまでは必要としませんが、リンパマッサージ資格の知識に加えても支障ないとも考えております。浮腫への理解を深め、リンパマッサージで体調改善を行い、食事指導で根本から浮腫を撃退する…このように考えますと、リンパマッサージ資格に必要な知識であると言える気もします。