オールハンドリンパマッサージ 手あてすることと痛むこと
手あてがもたらす神秘的な効果
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目次
0.手あての歴史
1.手で行う手あて
2.手あてすることと痛むこと
3.手あてすることと癒すこと
4.手あての特徴
5.手あてと肌感覚
6.手あてとプラシーボ効果
7.手あてとジェームズ・ランゲ説
8.手あてとオキシトシン
9.手あてと自分に触れる理由
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2.手あてすることと痛むこと
手あては、痛みを生じた際に行う代表的な行為と言えますが、痛みは、物理的な外的刺激に対する単純な知覚反応であるという訳ではありません。痛みは、物理的な外的刺激の程度に応じた反応で間違いはないのですが、痛みの感覚には個人差があるうえ、その時の精神状態や置かれていた環境によっても痛みの閾値は変化するのです。
例えば、酒に酔った翌日に大きな怪我を負っていたことに気付いたり、スポーツで負った怪我がスポーツが終わった後に急にひどく痛み出すことがあります。また、足を切断した人が切断して既にないはずの足に痛みを感じることがあります。これらは、痛み以外の他の感覚が痛み刺激を上回り続けていた証明です。
神経には、痛覚の他に触覚や圧覚などたくさんの神経がありますが、手あてで行われる触れるという触覚刺激は、痛覚刺激よりも早く脳に達するため、手あてで触れることで痛みが和らぐという訳です。痛いの痛いの飛んで行け~で痛みが緩和されるのは事実なのです。
また、痛いの痛いの飛んで行け~では、痛みのある部位を撫でたりさすったり押さえたりもするはずです。この行為は、上述した触覚刺激の伝導速度の点以外にも、痛みのある部位の血流を良くし痛み物質を拡散することにつながります。この意味でも痛み刺激が和らぐ結果となります。
そして、この行為は無意識下で反射的に行われる行為です。つまり、急性の痛みに対して効果が見込める行為であると考えることができます。慢性の痛みでも同様に手あてしていると思いますが、急性の痛みほどの効果は期待できないようです。
リンパマッサージは、オールハンドで行われますが、オールハンドでマッサージする理由は、痛み刺激に対するこのような科学的な根拠も伴っております。皆さまが日々お悩みの症状の中には、特にリンパマッサージが即効的と言える症状もございます。ただし、症状が慢性化した状態になるにつれ、当然ながら施術効率は低下いたします。場合によっては、疾患が影響しているケースもございますので留意が必要です。
人の自然な反応である手あてについて考え、手あてを意識した日常生活を送ることは、生きるうえで大切なことのようにも感じます。