オールハンドリンパマッサージ 手あての歴史
手あてがもたらす神秘的な効果
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目次
0.手あての歴史
1.手で行う手あて
2.手あてすることと痛むこと
3.手あてすることと癒すこと
4.手あての特徴
5.手あてと肌感覚
6.手あてとプラシーボ効果
7.手あてとジェームズ・ランゲ説
8.手あてとオキシトシン
9.手あてと自分に触れる理由
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0.手あての歴史
人を治すことを手あてといいますが、痛みのある個所に手をあてることは、人のきわめて自然な反応です。ケガをしたら手でさすり、お腹が痛いと手でなでる…などの行為は、医学本来の姿と言われています。看護の看の字の中には、手と目が含まれており、手をかざして患者を目で看る行為を指します。
記録に残る最古の医療は、紀元前4世紀、ギリシャの医神アスクレピオスが治療する姿(宗教儀式の絵)の壁画に見ることができます。手あてという行為によって、盲人は目が開き、歩けない人が歩いたり、傷物や腫物が治ったり…。当時の人々は、病気になるのは魔物のせいであると考えていたため、手あてという行為は、儀式的な行為によって執り行われていました。そのため、手あてが奏功しない場合は、病人が指示通りしなかったからだ…信仰心が足りなかったからだ…お賽銭が少なかったからだ…など、手あてに対する弁解も周到に用意されていました。プラシーボ効果を模した営利運営とも言えるかもしれません。
その後、ギリシャの医聖ヒポクラテス(紀元前460~377頃)が「我々の体は、健康に戻ろうとする自然の力がある」と述べ、食事・薬物・沐浴。マッサージ・運動と休息などを駆使し、自然治癒力を重視するようになり、現在で言うところの「養生」が行われるようになりました。
それから先、大きな時間の流れを経まして…
近代看護教育の生みの親とされ、クリミア戦争での医療衛生改革で有名なフローレンス・ナイチンゲールにより、著書である「看護覚え書」などで我々の知るところの近代看護へと発展を遂げました。ナイチンゲール自身もギリシャ哲学が高かったこともあり、医師にとっての「ヒポクラテスの誓い」にならって、看護師の戴帽式や卒業式での「ナイチンゲール誓詞」の誓いが生まれました。
リンパマッサージは、オールハンドで行われますが、オールハンドでマッサージする理由は、このような歴史上の事実のうえに成り立っているのです。皆さまが日々お悩みの症状の中には、特にリンパマッサージが即効的と言える症状もございます。ただし、症状が慢性化した状態になるにつれ、当然ながら施術効率は低下いたします。場合によっては、疾患が影響しているケースもございますので留意が必要です。
人の自然な反応である手あてについて考え、手あてを意識した日常生活を送ることは、生きるうえで大切なことのようにも感じます。