冷え性は女性に多い症状ですが、男性や子どもにも多くなられる症状となっております。近年では、夏の炎天下でも冷えをかじる夏冷えも多くなっており、原因は夏の冷房と言われています。
人体には、恒常性と呼ばれる機能があり、外気などの環境因子に適応し体温を調整する能力があります。この作用は、脳にある間脳視床下部が司っており、神経伝達系は自律神経が担っております。ところが、寒暖差が7度を超えると自律神経に機能失調が生じ、体温調節が困難となります。
また、冷え性には低血圧や貧血などによる血液循環の低下、少ない筋肉質量、その他の疾患との関連性なども要因にあげられます。ホルモンバランスやたばこなどの嗜好品との関連もあります。
当然ながら、ただの冷え性と思っていたら、実はほかの疾患だったなどということもありますので、症状が重篤な場合は医療機関を受診して下さい。

1. どうして冷え性になるのか

冷え性は、よく耳にする言葉ではありますが医学的な診断名はありません。低体温には36度以下という定義がありますが、冷え性には温度のうえでの定義もなく、一般的には、普通の人が寒さを感じない温度で、手足など体の一部に冷えを感じた状態とされています。
冷え性は、血液循環が低下し体の末梢の隅々に温かい血液が送り込まれなくなることで、末梢の血管自体が収縮してしまい手足に冷えを生じます。手足の指先は、人体の中で心臓からもっとも距離のある場所に位置していますので、もっともはやく冷えを生じるのです。このことは、体の生体機構でもあり、血液循環が低下した場合には、重要な諸臓器への血流を確保する機構が仕組まれてますので、手足の血流は低下することは必然なのです。
血液循環の低下は、体の疲労物質などの老廃物の排出も困難にしますので、冷え性には随伴する症状もあります。

 2.冷え性のタイプ

❐ 次世代型冷え性：近年増加している冷え性、体温は正常だが冷えを感じる

❐ かくれ冷え性：手足の冷えはない内臓の冷え

❐ 末梢血管冷え性：末梢の血液循環が低下による冷え

❐ 内蔵冷え性：骨盤周囲と下半身の冷え

❐ 甲状腺機能低下冷え性：血液循環や代謝異常による冷え

❐ 循環低下冷え性：低血圧や貧血による冷え

❐ セルライト型冷え性：セルライトが多い人の冷え

3.どうして冷え性は女性に多いのか

まず、皆さまのお気づきのように、筋肉量の差があげられます。筋肉量が少ないと熱の産生能力が低下しますので、結果として冷えを感じます。また、ホルモンバランス異常による過剰な生理出血やダイエットなどでの偏った食習慣による貧血も要因です。出血や貧血による血液循環量の低下が代謝を低下させるうえ、血液循環の低下は温かい血液が体の末梢に行き届かなくなり冷えを感じます。衣服による冷えも挙げられます。例えば、夏の炎天下とクーラーの効いた部屋を行き来する際、肌の露出が多い衣服だと急速な寒暖差を生じるからです。露出の少ない衣服を選択することで夏冷えの予防につながります。
そして大切なのが自律神経です。人体には、恒常性と呼ばれる機能があり、外気などの環境因子に適応し体温を調整する能力があります。この作用は、脳にある間脳視床下部が司っており、神経伝達系は自律神経が担っております。ところが、寒暖差が7度を超えると自律神経に機能失調が生じ、体温調節が困難となります。それ以外にも、ストレスなどにより自律神経が交感神経優位となると血管が収縮する方向に働きますので冷えの要因となります。

4.冷え性とリンパマッサージ

リンパマッサージで改善が見込める冷え性は、おもに筋肉疲労による血行不良やストレスによる自律神経の機能異常を原因とした場合です。筋肉疲労の原因となる正しくない姿勢やストレスなどにより、体の末梢の血行不良を招き、疲労物質が蓄積され結果として冷え性を引き起こします。リンパマッサージによるリンパ循環の改善により、体の中の老廃物や疲労物質が回収され、症状が改善する方向に働きます。
また、リンパマッサージは、副交感神経を優位にしますのでリラックス効果があり、筋肉の過緊張状態を改善いたしますので、ストレスによる冷え性に改善が見込めます。さらに、正しい姿勢、生活習慣や食習慣などのアドバイスにより、原因を意識した日常を送ることにより、冷え性のさらなる改善が期待できます。

冷え性は、以前までの女性特有の症状から現代病へと転換していくように思われます。多くの方が経験されたことのある日常生活における代表的な症状ではありますが、一部の冷え性では、他の疾患が原因であるケースもございますので留意が必要です。急性の冷え性においては、特にリンパマッサージが即効的であると言えます。ただし、冷え性が慢性化した状態になるにつれ、当然ながら施術効率は低下いたします。ただし、冷え性の原因が、日常生活やストレスにあることが疑われれば、リンパマッサージに加え日常生活へのアドバイスにより、冷え性改善が期待できます。