腰痛とリンパマッサージ

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腰痛は、幅広い世代の方が経験されたことのある症状の1つだと思います。腰痛をお持ちの方は、全国におよそ3000万人いるとも言われており、医療機関を受診しても、腰痛の80%ほどは原因が特定されていません。腰は、体の要となる部位であり、さまざまな動作の軸となる箇所です。人体の背骨は緩くS字状になっており、上半身のすべての重みが腰に集中しているため、腰にかかる負担は無理のある動作であればなおさらです。歩行や立位ならまだしも、日常的に多い前かがみの作業では、腰への負担は立位の4倍とも言われているうえ、加齢現象により衰退しやすい筋肉が腰の筋肉とい特徴もあります。
原因が特定できない腰痛は、ストレスとの関連性が指摘されています。腰痛によるストレスは、痛みを抑える神経伝達物質の産生を減少させます。また、疼痛をおそれるあまり正しくない姿勢をとり続けることで、さらに腰への負担が増します。そこに、腰痛以外のたくさんのストレスに日常的にさらされると、負のサイクルに陥り、心因性腰痛とも呼ばれる慢性腰痛へと進行していきます。日常生活での正しくない姿勢や正しくない姿勢での作業など、腰痛改善には日常生活の見直しも不可欠ですが、腰痛
と思っていたら、実はほかの疾患だったなどということもありますので、症状が重篤な場合は医療機関を受診して下さい。

 

 

 

 

 

 

1. 腰痛の原因

 

原因が特定できない腰痛の大半は非特異性腰痛と呼ばれており、一般的に急性腰痛症や坐骨神経痛などと診断されます。画像診断でも筋骨格性には明らかな異常を認めず、診断が難しいとされています。腰痛の要因としては、長時間の立位や同一体位、前かがみでの作業、ストレスなどがあげられており、腰に筋肉の疲労物質が蓄積することで腰痛を発症すると言われれています。
長時間の立位や同一体位、前かがみがちな作業としては、パソコン作業が代表的であり、その他にも日常を振り返ると種々の動作や作業が思い起こされます。
ストレスや運動不足による血行不良ですが、抑うつのPageにも書いていますが、過度のストレスは筋肉の過緊張をまねき筋肉疲労を蓄積させます。運動しようにもストレス下ではまず困難です。日常の過緊張状態では、筋肉に疲労物質が蓄積し続け、血行不良をまねきます。血行不良下では、疲労物質などの老廃物の排出効率はさらに減少し、腰痛はより一層悪化していきます。
また、
腰痛の原因となる疾患では、内臓疾患に伴う放散痛や背骨の異常に伴う神経系の圧迫による神経障害があります。

 

 

 

 

 

 2.腰痛の原因となる疾患

 

 

腰痛の原因となる疾患では、内臓疾患に伴う放散痛や背骨の異常に伴う神経系の圧迫による神経障害があります。
まず、内臓疾患では、膵炎、腎炎・尿管結石、子宮内膜症などがあげられます。
 

 

膵炎

膵臓は、体の後腹膜に位置し脊椎の近くに横たわる形で配置されています。本来、膵臓には、膵液と呼ばれる消化酵素を分泌する働きとインスリンを分泌する働きがあります。しかし膵炎では、消化酵素である膵液が膵臓自身を消化してしまいます。食事をとり膵液が分泌される度に膵臓自身も消化されるため、膵臓が位置する付近の上腹部や腰部に激しい疼痛を伴います。

 

 

腎炎

腎炎とは、腎臓に細菌感染が起こった状態であり、腎臓が位置する腰部付近に疼痛を発症し、同時に高熱が出現します。尿管結石とは、腎臓や尿管に石が出来てしまう疾患であり、腎臓で結石が形成される段階では基本的に無症状ですが、結石が細い尿管を通過する際に激しい疼痛が出現します。尿管結石の嵌頓痛は疝痛発作とも呼ばれ、あまりにも激烈な疼痛であるため、腰痛と誤診することはまずありません。

 

 

子宮内膜症

子宮内膜症とは、本来、子宮の中にあるはずの子宮内膜が、どうしたわけか、卵巣・卵管、腸、腹膜など、子宮以外の部位に発生してしまう病気です。月経では、はがれた子宮内膜は膣から体外に排出されますが、子宮内膜症では体外に排出されず、内膜がはがれた際の疼痛以外に、はがれた内膜が体内に残されることで強い腰痛の原因ともなります。

 

 

以上、内臓疾患について簡単にご説明いたしました。次に、神経疾患ですが、神経疾患では、腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアなどがあげられます。

 

 

腰部脊柱管狭窄症・椎間板ヘルニア

脊髄から出る神経は脊椎と呼ばれる背中の骨の中を通っており、1つ1つの椎骨と椎骨の間には椎間板と呼ばれるクッションの働きをする軟骨があります。この椎間板が後方に突出すると椎間板ヘルニア、腰部の椎骨の並びがばらつくと腰椎すべり症と診断され、腰痛や足のしびれなど多彩な症状が出現します。この状態の総称が腰部脊柱管狭窄症と呼ばれています。さらに腰部脊柱管狭窄症が進行すると、歩行障害や排尿/排便障害、足の麻痺や感覚障害が出現する重篤な状態へと進行します。

 

 

 

 

 

3.腰痛のエクササイズ

 

腰痛でお悩みの方に、お家で出来る簡単セルフエクササイズとして、対症療法ではありますが簡単な体操もあるようですのでご紹介いたします。1度お試ししてみてください。

 

太もも裏エクササイズ

腰痛の原因となる部位に太もも裏の筋肉の凝りがあげられます。まず、両足を広めに開き、大きく息を吸います。そして、ゆっくりと息を吐きながら体を右側に傾けていきます。太ももの張りを自身で感じながら、痛みを伴わないギリギリの状態で気持ちがいいところまで体を傾けていくことが大切です。息を吐ききったらゆっくりと体を起こし元に戻します。これを左右行います。

 

臀部の筋ほぐしエクササイズ

椅子に座り、右足をあぐらをかくように左足の上にのせます。そのままの状態で、背中を丸めることなく上半身を前傾していきます。おしりの筋肉に痛みを伴わないギリギリの状態で気持ちが良いところまで、ゆっくりと体を前傾していくことが大切です。適度に気持ちよさを感じながら1分程度伸ばし、ゆっくりと体を元の位置に戻します。これを左右3回くらい行います。

 

 

 

 

 

4.腰痛とリンパマッサージ

リンパマッサージで改善が見込める腰痛は、おもに筋肉疲労による血行不良を原因とした場合です。筋肉疲労の原因となる正しくない姿勢やストレスなどにより、腰の血行不良を招き、疲労物質が蓄積され結果として腰痛を引き起こします。リンパマッサージによるリンパ循環の改善により、体の中の老廃物や疲労物質が回収され、症状が改善する方向に働きます。
リンパマッサージは、まず、副交感神経を優位にしますのでリラックス効果があり、筋肉の過緊張状態を改善いたします。そして、リンパ循環を正しくマッサージすることで、筋肉の疲労物質の排出効率が高まり、結果的に血液循環も改善されるため、疲労物質の排出効果はより高まります。さらに、正しい姿勢や日常生活上のアドバイスにより、原因を意識した日常を送ることにより、腰痛の根本的な改善が期待できます。

 

 

 

 

 

腰痛は、幅広い世代の方が経験されたことのある日常生活における代表的な症状ではありますが、一部の腰痛では、内臓疾患に伴う放散痛や背骨の異常に伴う神経系の圧迫による神経障害が原因であるケースもございますので留意が必要です。急性の腰痛においては、特にリンパマッサージが即効的であると言えます。ただし、腰痛が慢性化した状態になるにつれ、当然ながら施術効率は低下いたします。ただし、腰痛の原因が同一体位やストレスにあることが疑われれば、リンパマッサージに加え日常生活へのアドバイスにより、さらなる腰痛改善が期待できます。